“コロナ5類移行時期と患者受け入れ”について医師412名にアンケート調査を実施

医療人材総合サービスを提供する株式会社エムステージ(東京都品川区、代表取締役:杉田雄二)は、当社が運営する『Dr.転職なび』『Dr.アルなび』の登録医師のうち412名に “コロナ5類移行時期と患者受け入れに関するアンケート”調査を実施しました。

■調査背景

2023年5月8日、新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類感染症」に移行され、限られた医療機関でのみ可能であった受診が、幅広い医療機関において可能になります。(厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」より)
このようなコロナ5類移行の時期について、現場の医師はどのように感じているのでしょうか。コロナ前後の対応状況とあわせて調査しました。

調査結果のサマリー

・5類移行の時期5割の医師が“適切3割の医師が“遅い”と回答
・コロナ患者の診療「全医療機関で行う一般的な対応」
 約6割の医師が賛成と回答 陽性者を含む「すべての患者を受け入れ」医療機関は6.5%増加
約8割の医師が5類移行による業務負担変わらない」と回答

■移行時期について

1. 5割の医師が“適切”3割の医師が“遅い”と回答

新型コロナウイルスの感染症法上の累計が5類に移行した時期について、約5割の医師が「適切である」と回答。一方で、約3割の医師が「遅い」と回答する結果となりました。
「適切である」と回答した理由としては、「世界の情勢を踏まえたうえで無難である」という意見が多くみられ、「遅い」と回答した理由としては、「決めるのが遅く、対応するのが難しかった」という意見がみられました。

■「適切である」と回答した理由(フリー回答)
・無難でしょう。(60代/眼科/開業医)

・いずれやらないといけないため、仕方ないと思います。(50代/整形外科/勤務医[大学病院以外の病院])

・死亡者数も落ち着いてきており、世界の趨勢を考えると適当と考えます。(60代/消化器外科/勤務医[大学病院])

■「どちらかというと遅い」「遅すぎる」と回答した理由(フリー回答)
・慎重過ぎた感があります。(60代/脳神経外科/勤務医[非常勤のみ])

・決めるのが遅く、対応するのが難しかったです。(40代/呼吸器内科/勤務医[診療所・クリニック])

・若年層の死亡率が低いデータが得られた時点で、移行するべきであったと考えます。
(50代/形成外科/勤務医[大学病院以外の病院])

・若年層はほとんど軽症。昨年の初めからわかり始めていたにも関わらず、感染症の対策により、現役世代や子どもたちに負担を押し付けるのは違うと思います。(40代/一般内科/勤務医[大学病院以外の病院])

・海外の情勢にようやく追いついたというところだが、医療従事者は相変わらずマスク着用等は求められており、ダブルスタンダードは完全には解消されていません。(40代/泌尿器科/勤務医[大学病院以外の病院])

「どちらかというと早い」「早すぎる」と回答した理由(フリー回答)
・オミクロン株は風邪と同様扱いでよいようですが、変異株により症状も重症度も違います。観光に力を入れ過ぎると円安もあり、世界の色々な株が入ってくることにより、今度またデルタ株以上の重症化する株が流行するかもしれません。(60代/一般内科/勤務医[健診施設や老健など])

・コロナウイルス自体が変異しているため、半年程度先まで経過を見て決定しても良かったと思います。特に病院はクラスターが起こるとダメージが大きかったため尚の事です。(60代/心療内科/勤務医[大学病院以外の病院])

・また新しい感染症が流行した場合に、大騒ぎになることが予想されるため。標準予防策としてマスクはしたほうがいいと思います。(40代/整形外科/勤務医[診療所・クリニック])

・まだ次の波が来ると思います。後遺症が残ることも多く、インフルエンザと同じに考えてはいけないと思います。(30代/呼吸器内科/勤務医[大学病院])

・ゴールデンウィーク明けの今の感染状況を見てからが良かったと思います。
(40代/血液内科/勤務医[大学病院以外の病院])

■患者の受け入れについて

2. コロナ患者の診療「全医療機関で行う一般的な対応」に
 約6割の医師が賛成と回答 陽性者を含む「すべての患者を受け入れ」医療機関は6.5%増加

5類移行により、コロナ患者の診療は「限られた医療機関による特別な対応」から、「全医療機関で行う一般的な対応」となっていくことが求められます。この方針について、約6割の医師が「賛成」、約2割の医師が「反対」と回答しました。
5類移行後の患者の受け入れに関する意見としては、「どこの施設でも対応していただいた方が、医療従事者としては助かります」という意見が見られる一方で、「設備、人員が不足している医療機関がある」「医療機関によっては、動線を分けることができないところも確実に存在する。全ての医療機関に画一的な対応を求めるのも安易には賛成しかねます」という意見が見られました。

■5類移行後の患者受け入れについての意見(フリー回答)
<賛成と回答>
・どこの施設でも対応していただいた方が、医療従事者としては助かります。(50代/小児科/勤務医[大学病院以外の病院])

・「求められる」ことはそうでも、病棟設備やマンパワーの関係で受け入れを断る病院は一定数あり、受け入れ状況は大きく変わらないと予想されます。(50代/麻酔科/勤務医[大学病院以外の病院])

・これまでに新型コロナウイルス患者の診察を行っていなかった病院や診療所が、新たに患者導線を考慮した診療体制を整えることは簡単ではないと思います。(60代/小児科/勤務医[大学病院以外の病院])

<反対と回答>
・設備、人員が不足している医療機関がある。(40代/一般内科/勤務医[診療所・クリニック])

・コロナやインフルエンザ患者を隔離できる部屋があるかどうか加味していただきたいです。(30代/呼吸器内科/勤務医[大学病院以外の病院])

・医療機関によっては、動線を分けることができないところも確実に存在する。全ての医療機関に画一的な対応を求めるのも安易には賛成しかねます。(40代/泌尿器科/勤務医[大学病院以外の病院])

<どちらとも言えないと回答>
・時間的隔離や空間的隔離ができる施設でなければ、コロナ患者の外来診療はできない。隔離できる施設は移行前から外来診療を行っているわけだから、どこの施設でも診察可能にはならないと思います。(30代/腎臓内科/勤務医[大学病院以外の病院])

また、5類移行前と後の勤務先(常勤先)のコロナ疑い・陽性患者の受け入れ状況を比較したところ、「すべての患者を受け入れ」と回答した医師は40.3%から46.8%になり、6.5%増加。また、「一切受け入れなし」と回答した医師は22.6%から16.7%となり、5.9%減少しました。

移行後の業務負担について

3. 5類移行による業務負担 約8割の医師が「変わらない」と回答

5類移行後の医師の業務負担に関して、約8割の医師が「変わらない」と回答し、約1割の医師が「移行前より忙しくなった」「移行前より負担が軽くなった」と回答しました。
「移行前より忙しくなった」理由としては、「外来患者数が増えた」「患者への説明にかかる時間と手間が増えた」という回答が多く、反対に「移行前より負担が軽くなった」理由としては、「陽性者の発生届が廃止になった」「「安全性」だけでなく「効率性」も考慮した感染対策が可能になった」という回答が多くみられました。

■アンケート調査概要

・コロナ5類移行に関するアンケート
・調査日:2023年5月22日~5月29日
・対象: 『Dr.転職なび』『Dr.アルなび』に登録する会員医師
・調査方法:webアンケート
・有効回答数:412
※引用・転載時には「株式会社エムステージ」と弊社クレジットを明記下さい。

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