医療人材不足や、医師の働き方改革。医療機関の人事課題に向き合う、メディカルヒューマンリソース事業部長の思い

叫ばれる医療人材不足や、2024年にせまる医師の働き方改革など、医療機関の人事課題の重要性やその施策の難易度は年々高まっています。
2003年に医師の採用支援サービスで創業したエムステージ。現在は、メディカルヒューマンリソース事業部として、医師だけでなく病院事務職の採用支援などにも展開を広げています。今、医療業界にはどのような人事課題があり、 課題に対して事業部ではどのような貢献を目指しているのでしょうか。事業部長の吉丸さんに話を聞きました。

(株)エムステージ 取締役 メディカルヒューマンリソ-ス(MHR)事業部長 吉丸智子
薬剤師の人材紹介、ハイクラス人材の求人サイト等、約20年に渡り人材ビジネスに携わる。2016年、エムステージ入社。福岡支社長、東京支社長を経て現職。大学時代は週5日、部活でサッカーに没頭。現在は登山やキャンプ、マラソンが趣味。医療経営士1級

――吉丸さんがエムステージにジョインされたきっかけはなんだったのでしょうか

以前は薬剤師の人材支援に携わっていましたので、医療業界における深刻な人材不足については課題感を持っていました。医療の根幹を担う医師の多様で柔軟な働き方を支援するという事業と、エムステージが掲げていた「持続可能な医療の未来をつくる」というビジョンはとても共感できるものでした。

――福岡支社に入社されて、1年後には福岡支社長として活躍されることになります

入社後は、キャリアプランナーとして医師の転職支援に携わりました。医師がひとり入職することで、その病院や地域医療が変わることもあり、事業のやりがいを強く実感しました。
また、自身の担当業務と並行して、例えば全員の営業進捗や見込みを数値化し共有できるツールを作成したり、週次の行動目標を支社独自で作って皆でチャレンジするなど、全員で成果を上げて顧客への貢献を増やすために取り組んでいました。そのような中で、支社長としてマネジメントを担うようになりました。

――2019年には、四半期MVPと年間MVPを受賞されます

当時はプレイングマネージャーとして福岡支社と那覇支社(現在は福岡支社に集約)のマネジメントを行っていました。MVPの受賞は、自身でも成果を出すことは当然ながら、週次でのアクションの振り返りと⾏動最適化の取り組みによって⽀社メンバーの平均⽬標達成率117%を実現したことや、前年同⽐の四半期売上を福岡147%、那覇138%まで伸ばした取り組みの結果でした。

――当時の受賞コメントを振り返ってみると、メンバーへの思いがあふれていますね

受賞の際のコメントでは、「メンバーは本当に前向きで一生懸命な方々ばかり。その素敵な個性が輝けるチームがあるのは、エムステージがチームと個人、どちらも重視した仕組みと制度を作ってきた歴史があるからで、これからも個人とチームが輝ける組織を皆さんと作っていきたい―。」というようなお話をさせて頂きました。

――その後、東京支社長を経て、現在はメディカルヒューマンリソース事業部長として医療機関の採用課題に取り組まれています

今も、受賞コメントの頃から思いは変わっていません。本当に素晴らしいメンバーが揃っているので、一人ひとりの出来ることを見極めて、伸ばしていくための組織作り・制度作りを意識しています。組織が大きくなってきた中でも、全員がビジョンを理解し、自分の役割を認識して自走できる組織であることが私たちの強さだと感じます。

MVP受賞式(2019年全社会議より)

――事業部長として今、社会や医療業界に対してどのような課題感を持っていらっしゃいますか

やはり日本の少子高齢化、生産年齢人口の減少は医療業界にとっても大きな課題です。
日本の生産年齢人口は1995年の8,726万人をピークに減少しており、2021年時点では7556万人、今後は2029年に7,000万人、2040年に6,000万人、2056年には5,000万人を割り込むと言われています。また、少子高齢化による人口減少だけでなく「女性活躍」といった言葉がもてはやされるように、女性が働きづらい社会であり、今ある労働力が活用できていないことも労働力不足の一因でしょう。

元々、医療業界は過酷な労働環境のため離職率が高く、人材確保や健全な労働環境の整備は課題でしたが、生産年齢人口の減少や女性の就業が増えない中では、さらに労働力不足の問題に拍車がかかることは言うまでもありません。
医師においては、若手医師で約3割、医学部では4割近くを女性が占めるようになってきています。医学部定員増加により医師総数は徐々に増えていますが、女性医師の割合増加に伴い、女性が長く活躍できる環境整備は課題です。

――医療人材不足が深刻な中で、多様な人材が持続的に働き続けられる環境の整備は急務ですね

その通りです。医療業界でも、2024年には医師の働き方改革の施行が予定されるなど、ようやく取り組みが始まろうとしています。しかしながら、医師の働き方改革にともなう残業時間の上限制限により、一時的な非常勤医師不足が発生する可能性もあります。非常勤医師が当直などの業務を担うことで、常勤医師の負担を軽減してきた一面がありますが、非常勤医師が働けなくなればそうした業務の分担が出来ず、働き方改革で反対に常勤医師の負担が増えてしまうという懸念もあるのです。
長期的には医師の働き方改革は重要な施策ですが、短期的な課題にどう対処していくか、多くの医療機関が今後直面していくのではないかと予測しています。

――こうした課題を解決するため、今後どのような事業展開を考えていらっしゃいますか

生産年齢人口減少という課題に対しては、医療機関の事務職紹介サービスをさらに強化していきます。医療機関の雇用では、これまで医療を提供する医療従事者が重視されてきましたが、生産性を向上するための院内DXの施策や働き方改革への対応といった多くの経営側の施策が求められる中で、優秀な経営人材のニーズは高まってきています。
少子高齢化では、受診する患者さんの数も減っていきますから、経営の概念を持たない医療機関の経営は今後、厳しくなっていくでしょう。
 “この病院の課題解決には、こんな経験やスキルをもった人材が必要ではないか”、という人材採用の提案が出来るのは、医療機関を理解しているエムステージだからこそできる支援だと思っています。

重要度を増す、優秀な経営人材・病院事務職の採用

――100名以上の医療経営士も在籍しており、医療経営へのアプローチはエムステージの強みですね

はい。医療経営士資格は全てのコンサルタントの取得を目指しています。
また、女性医師や働き方改革の課題に対しては、より医療機関の採用ニーズや採用課題に即した医師紹介と採用支援サービスを展開していきたいと考えています。例えば医師紹介では、医師の求職ニーズをベースに医療機関を探す、という流れが一般的なのですが、そうではなく医療機関側が求める採用人物像にマッチした医師のスカウトやヘッドハンティング、そして採用ホームページの制作や運用支援を通して医療機関自らの採用力を向上するようなサービスを検討しています。

――医療機関自らの採用力を高めることができれば、採用にかかるコストを下げることができますね

例えばホームページ制作では、オンラインで病院見学や周辺環境の下見ができるようなコンテンツを提供することで、医師により深く医療機関の魅力を伝えられ、応募意欲を高めることができるような採用ページの提供を考えています。

グループ全体で、ビジョンの実現を目指す

――医療機関の課題に対して、採用だけでなくエムステージグループとして支援することも増えてきているように感じます

はい、産業医・産業保健サービスを提供するエムステージの産業保健事業部や、医業承継・医療経営を支援するグループ会社のエムステージマネジメントソリューションズと連携することで、採用以外の課題に対する支援をご提供する機会も増えてきました。
医療機関の従業員のメンタルヘルス問題や医療機関の後継者問題といった課題を、日々、医療機関さまと向き合っているメディカルヒューマンリソース事業部のコンサルタントが把握することで、人材領域の課題に対してグループ全体で支援できるよう、さらに体制を整えていきたいと考えています。

――ありがとうございました