<後編>25年に渡り企業のヘルスケア支援に取り組む事業部長が、産業保健にかける思い

――当時の産業保健事業は、取締役の鈴木さんが事業を統括されていました。
鈴木さんと話をして、企業のヘルスケアに関して同じ思いであるということを感じました。
きれいな言葉だけで中身が伴っていないような企業も見てきたのですが、産業保健の身の部分をきちんとやっていこう、真摯に産業保健に向き合っていこう、というのが鈴木さんでした。ひたむきな思いが伝わってきて、非常に共感しましたね。お人柄もとても魅力的で、この人と一緒にやれたら、と強く思いました。
――2019年、エムステージにジョインされます。その後、産業保健を意義ある活動にするために、多くのサービス化を進めてこられました。
メンタルヘルスや産業保健に関わりたいという思いが強くなっての結果でした。
代表も非常にチャレンジを応援してくれる方で、産業医サービスの強化、産業保健師サービス、ストレスチェックサービス、ヘルスケア研修など、新しいことややりたいことに次々とトライさせてもらっています。「産業保健を変えたい」「企業の意識を変えたい」という思いを形にするために、挑戦させてもらえる環境に感謝しています。
――特に思い出に残っているプロジェクトはありますか。
大きかったのは、一年ほど前のストレスチェックのサービス化ですね。数億円のプロジェクトで、事業展開スピードが非常に速かったためメンバーは大変だったと思いますが、産業医サービスとともに企業の職場改善に貢献する、意義あるサービスを構築することができました。

――新型コロナ禍、企業からのご相談の変化や注視している点などはありますでしょうか。
新型コロナで一瞬にして世界が変わったと思いましたね。職場の感染症予防や、濃厚接触者・感染者が出た時の企業判断をどうするか。企業のリスクマネジメントにおいて、産業保健が重要な要素になったと感じています。
今後の気になる点としては、メディアでも叫ばれている女性自殺者の増加と若年層のメンタルケアです。テレワークも随分と一般的になりましたが、社内でのコミュニティがまだ形成されていない、横のつながりができていない若年層ほど、これくらいのことを聞いていいのかなと疑問や不安を抱え込んでしまいがちです。いかに女性や若年層のメンタルヘルス不調を未然に防ぐか、は注力していかなければならないポイントだと思います。
――産業保健が注目を浴び、業界としても大きくなった印象を受けます。
新しく産業保健サービスの提供を始める企業も出てきて、業界としては大きくなってきましたが、まだまだ全体として産業医と企業のマッチング的要素が強い状態であると感じます。さらに過当競争の中で売り上げ重視の業界構造になってしまうと、本質的な産業保健のあるべき姿ではなくなってしまうのでは、という質の懸念が起こります。
弊社も含めて、もっともっと産業保健の質を上げるため、企業や労働者の満足度を上げるためにどうあるべきかを考え続けていく必要があって、業界の課題だと感じています。
――今後の事業展開について教えて下さい。
個人への支援ももちろんですが、やはり企業に対してどう支援できるかが重要であると考えています。ストレスチェックを実施するだけではなく、その後の集団分析による職場改善の提案を行ったり、業務管理システムの「エムコネクト」では産業医の業務管理だけでなく健康管理クラウドとして組織の健康状態を可視化できるようにするなど、いかに企業の健康問題を予防していくかに今後も取り組んでいきます。
――企業へのアプローチによって、組織全体の健康度を上げていくのですね。
企業の産業保健をトータルに支援できるサービスのラインナップは、弊社の強みでもあり今後も改善を重ねていかないといけないところです。
ですがエムステージの産業保健サービスの一番の強みは、真摯に産業保健に取り組むひとりひとりのメンバーの存在です。弊社の産業医サービスの継続率は98%と高い満足度を頂いていますが、それも産業保健活動を意義あるものにするために企業に伴走する、カスタマーサポートの存在が支えています。この思いを大切に、サービス向上に取り組んでいきたいですね。

――最後に、事業部ではメンバー採用も行っていらっしゃると思いますので、産業保健事業部の組織環境についても教えてください。
組織としては、主体的にチャレンジしたい人には最適な環境であると思います。主体的に社会に価値提供できる人になってほしい、率先して動ける組織になってほしいと思い、私もメンバーの主体性を支援するような投げかけを意識しています。自分から積極的に仕事を取りに行く人には、失敗も含めてトライすることができますし、会社も社会的意義があること、産業保健の意義を啓蒙することには、積極的に投資をしてくれます。
反対に、受け身であったり、ルーティンを粛々とこなす人には向かないでしょう。真摯に産業保健のあるべき姿を目指して、ひとりひとりが主体的に動くことができる、そんな組織の姿をさらに強化し、意義ある産業保健活動を広める力にしていきたいと思います。
――ありがとうございました。